遺伝学的検査

SMAの確定診断に必要な遺伝学的検査

脊髄性筋萎縮症(SMA)の自然経過に基づいた知見から、SMAを早期に診断し早期に治療介入することがSMA患者さんの予後改善に役立つと考えられるため1、SMAは早期の確定診断が重要です。

SMAの責任遺伝子が明らかになったことにより、現在では、SMAが疑われる臨床症状や経過が認められた際に、筋電図や筋生検などの侵襲的な検査に先立ち、分子遺伝学的検査に基づいてSMAと確定診断することが可能となりました。遺伝学的検査においては、診断の第一段階として、SMN1(survival motor neuron 1)遺伝子の欠失を確認する検査を行うことが推奨されます。
SMN1遺伝子欠失のホモ接合体が検出された場合(SMN1遺伝子のコピー数が0の場合)はSMAと確定診断されますが、欠失と変異を1つずつ有する複合ヘテロ接合体(1コピーのみ)2や、変異のホモ接合体(2コピー)を有する症例の場合は、確定診断にダイレクトシークエンス法による詳細な解析が必要となります。

遺伝学的検査を自施設で実施できない場合、下記の施設・検査会社にお問い合わせください。

「遺伝学的検査・受付窓口のご案内」


東京女子医科大学 ゲノム診療科
特任教授: 齋藤 加代子 先生
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電話: 03-5269-7509

神戸大学医学部附属病院 検査部

名誉教授:西尾 久英 先生 部長:矢野 嘉彦 先生

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電話: 078-382-6316

株式会社ビー・エム・エル
本社: 〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷5-21-3
総合研究所: 〒350-1101 埼玉県川越市的場1361-1
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電話:049-232-3131 Fax:049-232-3132

遺伝学的検査の検査実施料

脊髄性筋萎縮症が疑われる場合に行われる遺伝学的検査に対して、以下の遺伝学的検査料を、原則として患者1人につき1回算定できます。2回以上実施する場合は、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に記載ください3

5000点:「D006-4」遺伝学的検査(処理が複雑なもの)4

※遺伝学的検査の実施に当たっては、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(平成29年4月14日、令和2年10月一部改正)5及び関係学会による「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」(2011年2月、2022年3月改定)6を遵守ください。

SMA診断の歴史

SMAの責任遺伝子を同定するためには明確な診断基準と分類の確立が必要との考えのもと、1992年に国際SMA協会により、SMAの診断基準が作成されました7,8
そして1995年にSMAの責任遺伝子がSMN1遺伝子であることが突き止められました9
SMAの遺伝子が明らかになったことにより、現在では、SMAが疑われる臨床症状や経過が認められた際に、筋電図や筋生検などの侵襲的な検査に先立ち、PCR/RFLP法による分子遺伝学的検査に基づいてSMAと確定診断することが可能となりました10,11

参考7,8※
※国内での診断基準とは異なります

文献

1. Rothwell E, et al.: Am J Med Genet A. 2013;161(4):679-686.
2. Wang CH, et al.: J Child Neurol. 2007;22(8):1027-1049.
3. 令和4年3月4日保医発0304第1号診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)別添1(医科点数表)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00037.html)Accessed June 20, 2022
4. 令和4年厚生労働省告示第54号診療報酬の算定方法の一部を改正する件<第2章>検査 (https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00037.html)Accessed June 20, 2022
5. 個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(平成29年4月14日、令和2年10月一部改正)(https://www.mhlw.go.jp/content/000681800.pdf)Accessed June 20, 2022
6. 日本医学会「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」(2011年2月、2022年3月改定)(https://jams.med.or.jp/guideline/genetics-diagnosis_2022.pdf)Accessed June 20, 2022
7. Munsat TL.:Neuromuscul Disord. 1992;2(5-6):423-428.
8. SMA 診療マニュアル編集委員会編:脊髄性筋萎縮症診療マニュアル, 金芳堂, 京都, 2012, p3
9. Lefebvre S, et al.: Cell. 1995;80(1):155 -165.
10. 難病情報センター 脊髄性筋萎縮症(指定難病3)(https://www.nanbyou.or.jp/entry/135)Accessed June 20, 2022
11. van der Steege G, et al.:Lancet. 1995;345(8955):985-986.

SPI-JPN-0475