SMAについて知る

SMAの原因・診断

脊髄性筋萎縮症(SMA)は常染色体潜性(劣性)の遺伝性疾患です。SMAの主要な責任遺伝子はsurvival motor neuron 1(SMN1)遺伝子で、SMA患者さんは両親から1コピーずつ、SMN1遺伝子欠失又はSMN1遺伝子内変異を2コピー受け継いだ場合にSMAを発症します1

SMA患者さんはSMN1遺伝子の重複遺伝子であるsurvival motor neuron 2(SMN2)遺伝子を通常1コピー以上有しています2,3SMN2遺伝子はSMN1遺伝子とゲノム配列がほぼ同じですが、エクソン7の6位のヌクレオチドがCからTに置き換わっているため、スプライシングの過程でほとんどのエクソン7がスキップされ、産生されるSMNタンパク質の約90%が短縮型の非機能性タンパク質であると報告されています2,4

SMN1、SMN2遺伝子からのSMNタンパク質の産生経路

SMNタンパク質は運動ニューロンの生存に不可欠ですが2、SMA患者さんでは脊髄運動ニューロンの生存を維持するためのSMNタンパク質の不足が起こり、それによって脊髄内の下位運動ニューロンの変性が生じ、筋萎縮をきたします2,5

SMA患者さんにおけるタンパク質不足に伴う筋力低下・筋萎縮2,5,6

大多数のSMA患者さん(98%以上)において遺伝学的にSMN1遺伝子の欠失又は変異がみられます2,5。そのため、現在では、SMAが疑われる臨床症状や経過が認められた際に、遺伝学的検査に基づいてSMAと確定診断することが可能です。遺伝学的検査の詳細は、こちらをご覧ください。

文献

1. National Organization for Rare Disorders. Spinal muscular atrophy. https://rarediseases.org/rare-diseases/spinal-muscular-atrophy/ Updated 2012. Accessed April 6, 2018.
2. Lunn MR, et al.: Lancet. 2008;371(9630):2120-2133.
3. Swoboda KJ.: N Engl J Med. 2014;371(18):1752-1754.
4. Finkel RS, et al.: Neurology. 2014;83(9):810-817.
5. Lefebvre S, et al.:Cell. 1995;80(1):155-165.
6. Kolb SJ, et al.: Arch Neurol. 2011; 68(8): 979-984.

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