症例で解説する確定診断方法

紹介した症例は臨床症例の一部であり、全ての症例が同様ではありません。

2歳2ヵ月で診断に至ったⅡb型SMA症例
監修・症例提供:京都大学医学部附属病院 小児科 横山 淳史 先生

確定診断に至るまでの過程

HFMSE:Hammersmith Functional Motor Scale-Expanded(拡大Hammersmith運動機能評価スケール)

本症例の確定診断に至ったポイント

外反扁平足、X脚、反張膝、腰椎前弯
動揺性歩行(支えあり)
上記所見からSMAの可能性が疑われ、遺伝学的検査を実施

臨床所見のポイント

<立位>

大腿四頭筋の筋力低下があるため、重心を膝軸より前方に置いて膝折れを防ぐ立位となり、
反張膝や腰椎の前弯がみられる
(腰椎前弯)。

<外反扁平足・X脚・反張膝>

<腰椎前弯>

<起き上がり動作・階段上り動作>

起き上がり動作や階段上り動作においても、歩容と同様の近位筋優位の筋力低下が認められる。

<起き上がり>

<階段上り>

<歩容>

近位筋優位の筋力低下を呈するため、大腿が上がらず代償的に腰を回して脚を前に
投げ出すような歩容(動揺性歩行)がみられる。

<歩容・全体>

<歩容・正面>

<歩容・横>

監修医のコメント

本症例のように、Ⅱb型SMA(座位獲得8ヵ月以内)においては、歩行(支えあり)までの発達速度は通常と変わらないケースがあります。いったん獲得した運動機能の退行や手指の振戦、動揺性歩行、X脚、外反扁平足、反張膝、腰椎前弯など、本症例のような特徴が少しでも確認されましたら、神経筋疾患を疑い、専門医にご相談ください。SMAは進行性の疾患であるため、早期診断・早期治療により、運動機能の向上や機能維持を目指すことが重要です。

京都大学医学部附属病院 小児科 横山 淳史 先生

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遺伝学的検査の検査実施料

脊髄性筋萎縮症が疑われる場合に行われる遺伝学的検査に対して、以下の遺伝学的検査料を、原則として患者1人につき1回算定できます。2回以上実施する場合は、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に記載ください1

5000点:「D006-4」遺伝学的検査(処理が複雑なもの)2

注) 遺伝学的検査の実施に当たっては、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(平成29年4月14日、令和2年10月一部改正)3及び関係学会による「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」(2011年2月、2022年3月改定)4を遵守ください。
1. 令和4年3月4日保医発0304第1号 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)別添1(医科点数表)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00037.html)Accessed June 20, 2022
2. 令和4年厚生労働省告示第54号 診療報酬の算定方法の一部を改正する件<第2章>検査 (https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00037.html)Accessed June 20, 2022
3. 個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(平成29年4月14日、令和2年10月一部改正)(https://www.mhlw.go.jp/content/000681800.pdf)Accessed June 20, 2022
4. 日本医学会「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」(2011年2月、2022年3月改定)(https://jams.med.or.jp/guideline/genetics-diagnosis_2022.pdf)Accessed June 20, 2022

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