症例で解説する確定診断方法

紹介した症例は臨床症例の一部であり、全ての症例が同様ではありません。

2歳で症状発現、5歳で確定診断に至った症例
監修・症例提供:地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪母子医療センター 小児神経科 木水 友一 先生

確定診断に至るまでの過程

本症例の確定診断に至ったポイント

下肢優位の筋力低下を有する
動揺性の歩容(長時間の歩行により動揺性の歩容が助長)
手指の振戦

歩容(疲労時)

クリックして歩容動画を再生してください。

上記の所見からSMAの可能性が疑われ、遺伝学的検査を実施
発症から受診までに6ヵ月、初回の受診から確定診断までに40ヵ月(当施設受診から診断まで1ヵ月)を要した

Ⅲ型SMA患者の自然経過:歩行機能

Ⅲa型SMA患者の約半数がおよそ10歳までに、Ⅲb型SMA患者の約半数がおよそ30歳までに歩行機能を喪失しています
(海外データ)。

※12歳未満発症
Wadman RI, et al.: J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2017;88(4):365-367.

監修医のコメント

未診断のSMA患者がまだまだ多くいます。SMAが否定できない症例は、(筋電図や筋生検などの侵襲的な検査は診断に必須ではないので)遺伝学的検査の実施を検討されるか、各種検査を実施可能な専門機関へ積極的にご紹介ください。進行性の疾患であるため、早期診断、早期治療が非常に重要です。

地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪母子医療センター 小児神経科 木水 友一 先生

「遺伝学的検査・受付窓口のご案内」


東京女子医科大学 ゲノム診療科
特任教授: 齋藤 加代子 先生
お問い合わせ
電話: 03-5269-7509

神戸大学医学部附属病院 検査部

名誉教授:西尾 久英 先生 部長:矢野 嘉彦 先生

お問い合わせ
電話: 078-382-6316

株式会社ビー・エム・エル
本社: 〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷5-21-3
総合研究所: 〒350-1101 埼玉県川越市的場1361-1
お問い合わせ

電話:049-232-3131 Fax:049-232-3132

遺伝学的検査の検査実施料

脊髄性筋萎縮症が疑われる場合に行われる遺伝学的検査に対して、以下の遺伝学的検査料を、原則として患者1人につき1回算定できます。2回以上実施する場合は、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に記載ください1

5000点:「D006-4」遺伝学的検査(処理が複雑なもの)2

注) 遺伝学的検査の実施に当たっては、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(平成29年4月14日、令和2年10月一部改正)3及び関係学会による「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」(2011年2月、2022年3月改定)4を遵守ください。
1. 令和4年3月4日保医発0304第1号 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)別添1(医科点数表)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00037.html)Accessed June 20, 2022
2. 令和4年厚生労働省告示第54号 診療報酬の算定方法の一部を改正する件<第2章>検査 (https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00037.html)Accessed June 20, 2022
3. 個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(平成29年4月14日、令和2年10月一部改正)(https://www.mhlw.go.jp/content/000681800.pdf)Accessed June 20, 2022
4. 日本医学会「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」(2011年2月、2022年3月改定)(https://jams.med.or.jp/guideline/genetics-diagnosis_2022.pdf)Accessed June 20, 2022

Biogen-21783