ケースレポート
紹介した症例は臨床症例の一部であり、全ての症例が同様ではありません。
効能・効果、用法・用量、禁忌を含む使用上の注意等につきましては、最新の添付文書をご参照ください。
全ての写真及び動画は患者さんご本人又はご家族の許可を得て掲載しています。
2歳で発症、5歳で治療開始した起立歩行可能な症例(Ⅲ型SMA)(治療開始9ヵ月後の報告)
大阪府立病院機構大阪母子医療センター小児神経科 木水 友一 先生
大阪府立病院機構大阪母子医療センター小児神経科 木水 友一 先生
診断時年齢、性別
5歳、女児
出生歴
在胎38週6日、正常分娩で出生した。3126g
現病歴
1歳半までの運動発達は正常範囲。
【2歳】 | 滑り台の階段の上り方が他の児と比べ異常に遅いことに母親が気づき、近医小児科を受診後、整形外科に紹介となる。整形外科にてX脚と診断されリハビリテーションを開始。その後は、整形外科の受診のみでリハビリテーションを続けたが改善なく、走り方は競歩様で徒競走ではいつも最下位だった。 |
【5歳7ヵ月】 | 地域の5歳児健診(任意)を受診。健診医に児の症状と家族歴にある伯父の筋ジストロフィーとの関連性について相談し、患児のCK値が基準値を少し超えていたことで筋疾患を疑われ当施設へ紹介となる。 |
【5歳10ヵ月】 | 当施設を受診。SMAを疑い、当施設で遺伝学的検査を実施。 |
家族歴
伯父:筋ジストロフィー(16歳で死亡、病型や病歴の詳細は不明)
投与前所見
下肢優位の筋緊張低下、知的には正常、顔面筋罹患なし。
手指振戦あり。
動揺性の歩容(長時間の歩行により動揺性の歩容が助長)がみられる。
階段昇降が非常に不安定である。
投与前検査所見
◉ 診察所見
全身性筋緊張低下(下肢近位筋優位)、Gowers徴候(+)、動揺性歩行(+)、手指振戦(+)
舌の線維束性収縮(-)
腱反射:膝蓋腱-/-、アキレス腱-/-
◉ 検査所見
血液一般検査、髄液検査:異常なし
先天代謝異常スクリーニング(有機酸・アミノ酸分析等):陰性
筋肉CT:筋肉の萎縮のみ、変性なし
頭部MRI:異常なし
神経伝導検査:異常なし
針筋電図:自発放電(-)
◉ 運動機能
• | HFMSE(Hammersmith Functional Motor Scale-Expanded:拡大Hammersmith運動機能評価スケール):62点 |
• | 床からの立ち上がり:2.30秒 |
• | 6分間歩行試験:390m |
◉ 遺伝学的検査
SMN1遺伝子欠失、SMN2遺伝子3コピー、NAIP遺伝子欠失なし
診断
Ⅲ型SMA
Biogen-38072