ケースレポート

紹介した症例は臨床症例の一部であり、全ての症例が同様ではありません。

効能・効果、用法・用量、禁忌を含む使用上の注意等につきましては、最新の添付文書をご参照ください。
全ての写真及び動画は患者さんご本人又はご家族の許可を得て掲載しています。

出生直後から症状があり、10週で治療開始した重篤な呼吸障害併発症例(0型SMA)
(治療開始2年6ヵ月後の報告)
大阪府立病院機構 大阪母子医療センター小児神経科 木水 友一 先生

診断時年齢、性別

46日齢、男児

出生歴

在胎40週4日、出生体重2990g、正常分娩で出生した。

現病歴

出生直後から筋緊張低下と奇異性呼吸、四肢の関節拘縮があり酸素投与が必要となる。

【15日齢】 誤嚥性肺炎となり高流量鼻カニュラ(High flow nasal cannula; HFNC)による呼吸器サポートが開始となる。
【25日齢】 肺炎が増悪し挿管の上、人工呼吸管理となる。
【38日齢】 一旦抜管するも努力呼吸が強く再挿管となる。
【46日齢】 抜管困難であり、神経筋疾患が疑われ当院へ紹介入院となる。

家族歴

なし

投与前所見

顔貌: 異常なし
心音: 整、心雑音なし
呼吸音: 清、ラ音なし(出生直後から呼吸サポートが常時必要)
腹部: 平坦・軟、圧痛・腫瘤なし、グル音良好
腰仙部: 陥凹なし

投与前検査所見

診察所見
全身性筋緊張低下(右>左)
舌の線維束性収縮(-)、仮性肥大(-)
肘関節、膝関節に関節拘縮あり
腱反射:膝蓋腱-/-、アキレス腱-/- 
脳神経:確認できる範囲で異常所見なし
X線画像検査:ベル型胸郭が認められた

<生後10週(治療前)の様子>

顔面筋罹患ははっきりせず、筋疾患を疑うような顔貌ではない。奇異性呼吸あり。
全身性筋緊張低下で動きが乏しく、左上肢をわずかに動かすのみで右上肢、両下肢の動きは乏しい。
肘関節、膝関節に関節拘縮を伴う。HFNCを要している。

ご提供:木水 友一 先生

検査所見
血液一般検査、髄液検査:異常なし
先天代謝異常スクリーニング(タンデムマス・有機酸・アミノ酸分析等):陰性
筋肉CT:筋肉の萎縮のみ、変性なし
頭部MRI、脊髄造影MRI:異常なし
神経伝導検査:伝導速度正常下限(正中神経18.1m/s)
針筋電図:自発放電(-)

運動機能

HINE(Hammersmith Infant Neurological Examination)のセクション2:0点(投与前)
CHOP INTEND(Children’s Hospital of Philadelphia Infant Test of Neuromuscular Disorders):3点(投与前)

遺伝学的検査
SMN1遺伝子欠失、SMN2遺伝子2コピー、NAIP遺伝子欠失なし

診断

0型SMA

スピンラザ髄注12mg
5.効能・効果に関連する注意抜粋

    5.3 永続的な人工呼吸が導入された患者における有効性及び安全性は確立していない。これらの患者に投与する場合には、患者の状態を慎重に観察し、定期的に有効性を評価し投与継続の可否を判断すること。効果が認められない場合には投与を中止すること。

8.重要な基本的注意抜粋

    8.2 生後8~42日齢の乳児を対象とした臨床試験では、生後52~242日齢の乳児を対象とした臨床試験と比較して脳脊髄液中薬物濃度が約5倍高値を示した。新生児期又は乳児期早期の患者に本剤を投与する場合には、患者の状態を慎重に観察すること。[16.1.1 参照],[16.1.2 参照]

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