ケースレポート
紹介した症例は臨床症例の一部であり、全ての症例が同様ではありません。
効能・効果、用法・用量、禁忌を含む使用上の注意等につきましては、最新の添付文書をご参照ください。
全ての写真及び動画は患者さんご本人又はご家族の許可を得て掲載しています。
5ヵ月齢で治療を開始した症例(Ⅰ型SMA)(治療開始1年2ヵ月後の報告)
神奈川県立こども医療センター神経内科 山本 亜矢子 先生 昭和大学藤が丘病院小児科 布山 正貴 先生
神奈川県立こども医療センター神経内科 山本 亜矢子 先生 昭和大学藤が丘病院小児科 布山 正貴 先生
診断時年齢、性別
5ヵ月齢、女児
出生歴
在胎41週6日、帝王切開で出生した。出生体重3554g、身長51cm、頭囲35cm。
現病歴
【2ヵ月齢】 | 下肢の動きが乏しくなる。 |
【4ヵ月齢】 |
4ヵ月健診時に未頸定と筋力低下を指摘された。 鼻吸引時に一時的に窒息状態となり、昭和大学藤が丘病院小児科に搬送された。 著明な筋力低下を認め、精査目的でそのまま入院となった。 |
【5ヵ月齢】 |
血液検査、髄液検査、頭部画像検査等には異常は認めず、SMAを疑った。 遺伝学的検査の結果、Ⅰ型SMAと診断。 |
家族歴
神経筋疾患の家族歴なし
現症
身長64.7cm(0.0SD)、体重6.590kg(-0.5SD)、頭囲43.0cm(1.2SD)
体温37.0度、脈拍数128/分、呼吸数36/分、血圧86/40
動脈血酸素飽和度(SpO2):100%(room air)
全身状態良好、意識清明、笑顔あり
呼吸音:清、心雑音:なし
腹部平坦軟、体表奇形なし、皮膚発疹なし
頸定なし、head lagあり、スカーフ徴候あり
全身筋緊張低下、舌の線維束性収縮あり、深部腱反射消失
◉ 運動機能
抗重力運動は多少可能
把握:弱いが多少可能
上肢:肘関節は重力に抗して屈曲可能
下肢:足関節や指の運動は弱いが可能
検査所見
◉ 運動機能
• | HFMSE(Hammersmith Functional Motor Scale-Expanded):0点 |
• | 徒手筋力テスト(MMT):上肢3、下肢2 |
• | 6分間歩行距離:歩行不可能のため評価していない |
◉ 血液検査・生化学的検査
異常なし
◉ 髄液検査
異常なし
◉ 画像検査
<頭部MRI> | 異常なし |
<脳波> | 異常なし |
<脊髄MRI> |
胸腰椎移行部レベル以下の確認可能な範囲では、前根は後根より明らかに細い。 脊髄円錐の高さは正常範囲内、脊髄内異常信号はなし。 |
◉ 遺伝学的検査
SMN1遺伝子欠失、SMN2遺伝子2コピー
診断
Ⅰ型SMA
Biogen-10683