ケースレポート
紹介した症例は臨床症例の一部であり、全ての症例が同様ではありません。
効能・効果、用法・用量、禁忌を含む使用上の注意等につきましては、最新の添付文書をご参照ください。
全ての写真及び動画は患者さんご本人又はご家族の許可を得て掲載しています。
1歳2ヵ月頃に症状発現、2歳3ヵ月で治療開始した症例(Ⅱb型SMA)
(治療開始1年3ヵ月後の報告)
京都大学 小児科 横山 淳史 先生
(治療開始1年3ヵ月後の報告)
京都大学 小児科 横山 淳史 先生
診断時年齢、性別
2歳2ヵ月、女児
出生歴
在胎40週5日、帝王切開で出生 出生体重3538g 身長49.2㎝
発達歴
3ヵ月齢: | 頸定 |
5ヵ月齢: | 寝返り |
6ヵ月齢: | 座位 |
9ヵ月齢: | つかまり立ち |
10ヵ月齢: | 伝い歩き |
1歳2ヵ月: | 支えなしの1~2歩の独歩(1歳8ヵ月頃まで維持) |
現病歴
【4ヵ月齢】 | 健診で仙尾部の陥凹を指摘され、潜在性二分脊椎を疑われる。 |
【1歳2ヵ月】 | 独歩数歩獲得後、発達停滞。 |
【1歳6ヵ月頃】 | 1歳半健診で独歩ができていないという指摘があったが、経過観察となる。 |
【1歳9ヵ月】 |
家族が発達に不安を感じ、児童福祉センターを受診。 運動発達遅滞、低緊張、外反扁平足を指摘され、月に1~2回程度のリハビリテーションを開始。 |
【1歳11ヵ月】 | 胃腸炎、低血糖、脱水で総合病院入院。入院をきっかけに総合病院で週1回リハビリテーションを実施し、自宅での歩行訓練も並行して行うも、運動機能が少しずつ低下。 |
【2歳2ヵ月】 | 総合病院の主治医から当院へ紹介され、精査となった。 |
家族歴
両親に症状なし、同胞なし
投与前所見
顔面筋罹患なし、知的発達正常
Gowers徴候(+)、動揺性歩行(+)、手指振戦(+)、舌の線維束性収縮(-)
筋緊張: |
Consistency 軟 Extensibility 足関節、膝関節で軽度亢進 Passivity 下肢でやや亢進 |
深部腱反射: | 膝蓋腱-/-、アキレス腱-/- |
外反扁平足、反張膝、腰椎前弯がみられる。
新版K式発達検査(2歳3ヵ月時): | 姿勢・運動 0歳11ヵ月相当、認知・適応 2歳5ヵ月相当、言語・社会 2歳2ヵ月相当 |
歩容
近位筋優位の筋力低下を呈し、大腿が上がらず代償的に腰を回して足を前に投げ出すような歩容を示す(動揺性歩行)。
起き上がり
台をよじ登るように立ち、膝を伸ばしたまま起き上がる。下肢の近位筋の弱さによるGowers徴候が認められる。
階段上り
外反扁平足が目立ち、膝を伸ばしたままGowers徴候を呈し動くことしかできない。
外反扁平足、反張膝、
腰椎前弯

投与前検査所見
◉ 血液一般検査、髄液検査
異常なし
◉ 画像検査
<筋CT>近位筋優位の斑状軽度筋萎縮(筋量の低下)、皮下脂肪が目立つ
筋CT画像(大腿)

◉ 運動機能
HFMSE(Hammersmith Functional Motor Scale-Expanded:拡大Hammersmith運動機能評価スケール):25点
◉ 遺伝学的検査
SMN1遺伝子欠失、SMN2遺伝子3コピー、NAIP遺伝子欠失なし
診断
Ⅱb型SMA
Biogen-118202