投与サポート
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スピンラザの髄腔内投与の工夫や透視しにくい症例の穿刺位置を決定するコツ、患者さんのニーズに合わせたクリニカルパスおよび投与時の看護マニュアルをご紹介します。
スピンラザ投与マニュアル:投与部位、穿刺位置、針の長さの同定方法
(愛知医科大学病院の例)
愛知医科大学病院 小児科 岩山 秀之 先生
(愛知医科大学病院の例)
愛知医科大学病院 小児科 岩山 秀之 先生
X線や超音波による透視下でも、椎弓間孔が見えにくく穿刺位置を決定することが困難な症例があります。そのような投与困難例であっても、画像をもとに、穿刺位置や穿刺針を入れる深さ、 必要な針の長さを知り、スピンラザを確実かつ適切に投与するために、愛知医科大学で取り組んでいる方法をご紹介します。
スピンラザ投与が困難なSMA患者さんの例
X線や超音波による透視下でも椎弓間孔が見えにくい症例があります。
◉ Non-sitterの患者さん
座位が取れない状態が長く続いているnon-sitterの患者さんでは、寝たきり状態のため、重力の負荷が少なくなり骨密度が低くなります。
そのため骨のX線透過性が亢進し、椎弓間孔の位置を確認することが困難になります。
● | X線画像 |
椎弓間孔の位置が不明瞭な例

(左画像) | 重力の負荷が少なく椎体が縦長の形状になっている。 骨密度が低く、椎弓間孔を確認するのが困難である。 |
(右画像) | 椎弓間孔に穿刺針が刺さっている。 椎弓間孔はほとんど確認できない。 |
椎弓間孔の位置が明瞭な例

この症例はⅡ型で座位を取ることができる。骨密度は正常範囲であり、
椎体は水平方向が長くなっている。椎弓間孔は容易に確認できる。
◉ 強い側弯症の患者さん
強い側弯がある場合は、2DCT画像の軸位断と椎体の水平面が平行にならず、椎体や椎間板の位置が特定しにくくなります。
CTの機種によっては、CT撮影後、椎体に平行になるよう画像を変換できることもあるので、診療放射線技師に確認してください。
● | 2DCT画像 |
側弯あり例

軸位断で椎体が斜めに撮影されている。
側弯なし例

軸位断で椎体が水平に撮影されている。
椎体および椎弓が左右対称に描出されている。
◉ 肥満の患者さん
肥満の患者さんは、穿刺の深さが長くなるため、長い穿刺針を使う必要があります。長い穿刺針は短いものに比べて針が弯曲しやすく安定しづらいため、投与が困難になります。
投与困難例に対する事前準備:画像をもとに穿刺位置と穿刺針を入れる角度、必要な針の長さを想定します。
穿刺位置の特定が困難な患者さんへのスピンラザ投与は、盲目的穿刺となり、患者さんの負担が大きくなる可能性が否めません。そこで、画像から得られた情報をもとに、穿刺位置(D)や穿刺針を入れる角度(∠ADC)、そして必要な針の長さ(ADの長さ以上)を、事前に想定してから、投与に臨むことをお勧めします。

上記A〜Dは、下記の1〜4の手順で決定することができます。その方法は、Expert Step 1〜4と実践例でご説明します。

全ての写真は患者さんご本人又はご家族の許可を得て掲載しています。
スピンラザ髄注12mg
【使用上の注意】(抜粋)
2. | 重要な基本的注意 (1)本剤の投与は、脊髄性筋萎縮症の診断及び治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで行うこと。 |
7. | 適用上の注意 (2)投与時 1)重度の脊柱変形を生じている患者では、確実に髄腔内に刺入できるよう、超音波画像等の利用を考慮すること。 |
Biogen-38067