投与サポート

スピンラザの髄腔内投与について、患者さんのニーズに合わせたクリニカルパスおよび投与時の看護マニュアルをご紹介します。

スピンラザ投与時の看護マニュアル(愛知医科大学病院の例)
愛知医科大学病院 小児科 岩山 秀之 先生

こちらは愛知医科大学病院の画像診断センターが作成した「スピンラザ投与時の看護マニュアル」です。
スピンラザの髄腔内投与を行う処置室での準備、患者さんへの配慮、看護、投与の手順など、各スタッフの役割や注意点などを示しています。

スピンラザの投与方法のより詳しい内容につきましては、「スピンラザの投与方法 腰椎穿刺による髄腔内投与の実際」リーフレットをご覧ください。

スピンラザ投与時の看護マニュアル

愛知医科大学病院 画像診断センター
(愛知医科大学病院 小児科 岩山 秀之 先生ご提供:作成日2019年8月20日)

スピンラザ投与時の必要物品
以下の物品を清潔なワゴンに出す

□ シリンジ10mL 1本 □ シリンジ5mL 1本 □ スパイナル針M型 21G 1本
□ カテラン針 23G 2本 □ 注射針 23G 1本 □ 注射針 18G 1本
□ 円穴コンプレッセン 1枚 □ ガーゼ(8折) 5枚 □ 紙コンプレッセン(60×60cm) 2枚

  • □ 鉗子(3本組)[消毒用]     
  • □ 短鉗子[位置決め用]     
  • □ 鉗子立て     

  • □ 綿球(大3個入・大1個入)各1個     

  • □ メディマットLサイズ 1枚[患者の下に敷く]     
  • □ 絆創膏(大)1枚

薬品

  • □ スピンラザ®髄注12mg 1本     
  • □ キシロカイン®注ポリアンプ1% 1本(局所麻酔薬)     

  • □ ポピヨドン®液10%     
  • □ ハイポエタノール液2%

起こりうる合併症

腰椎穿刺による副作用
・・・・・・腰痛、嘔吐、頭痛
スピンラザ投与による副作用
・・・・・・発熱(頻度は少ない)

手順

1. 部屋準備
穿刺部位が手前になるように検査台に枕を用意する
2. 患者入室
A. 準備
1) 検査同意書があることを確認する
2) 患者氏名を確認し、検査、治療時の注意事項を説明する
3) 検査台へ患者を移動後、仰臥位で血圧測定を行う   ※必要時はモニターを装着し、他のバイタルサインを測定する
4) タイムアウトを実施する
B. ポジショニング
5) 患者を左側臥位にし、背中が検査台に対して垂直になるようにする
6) 固定金具付き側部支持器などを使用して患者の体を固定する(図)
※処置がしやすいよう支持器は穿刺部位からできるだけ離す
7) 穿刺部位の衣類を上下に開けて消毒剤による汚染を防ぐ
※テープを使用し、ずれないように留める
8) 腹部の下にメディマットを敷く
9) 側面および正面でX線画像を撮影し、医師が短鉗子を用いて患者の
背中に穿刺位置をマーキングする

左側臥位の例:支持器はできるだけ穿刺部位から離す。 足の間にマットを入れ、できるだけ脊椎がまっすぐになるようにする。

C. 穿刺
10) 医師がポピヨドン消毒をする
※事前に綿球(大3個)にポピヨドン液を用意する 
11) 医師がカテラン針にて1%キシロカイン(シリンジ10mL)にて局所
麻酔を行う    ※事前に医師が清潔に把持するシリンジ10mLに薬品を用意する
12) 医師がX線透視下(正面)で椎弓間孔に向かってスパイナル針を穿刺する
13) 医師がX線透視下(側面)で穿刺針の位置を確認し、髄腔に入ったことを確認する
14) 医師が髄液を自然落下またはシリンジ吸引で5mL採取する
医師が髄液を採取している間に、スピンラザを常温に温める
15) 常温に温めたスピンラザ 5mLを、医師が1.5分以上かけてゆっくりと髄注する   ※スピンラザ髄注時に注入開始後、30秒ごとに秒読みをする
16) 医師がスピンラザ投与後、ガーゼで押さえながらスパイナル針を引き抜く
D. 投与後
17) 医師がハイポエタノール液でポピヨドン消毒を拭きとる   ※事前に綿球(大1個)にハイポエタノール液2%を用意する 
18) 穿刺部に絆創膏を貼付する
19) 患者の衣類を直す、患者を仰臥位に戻す
20) 血圧測定、バイタルサイン測定を行う
21) 電子カルテにバイタルサイン(入室時、投与位置決め開始時、消毒時、局所麻酔時、穿刺開始時、
スピンラザ投与開始時、退室時など)や症状(気分、痛み、悪心、ふらつきなど)を記載する
3. 患者退室
患者を検査台からストレッチャーへ移動し退室する

スピンラザ髄注12mg
〈効能・効果に関連する使用上の注意〉

1. 遺伝子検査により、SMN1遺伝子の欠失又は変異を有し、SMN2遺伝子のコピー数が1以上であることが確認された患者に投与すること。
2. SMN2遺伝子のコピー数が1の患者及び4以上の患者における有効性及び安全性は確立していない。これらの患者に投与する場合には、本剤投与のリスクとベネフィットを考慮した上で投与を開始し、患者の状態を慎重に観察すること。
3. 永続的な人工呼吸が導入された患者における有効性及び安全性は確立していない。これらの患者に投与する場合には、患者の状態を慎重に観察し、定期的に有効性を評価し投与継続の可否を判断すること。効果が認められない場合には投与を中止すること。

【使用上の注意】(抜粋)

2. 重要な基本的注意
(1) 本剤の投与は、脊髄性筋萎縮症の診断及び治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで行うこと。
3. 副作用
脊髄性筋萎縮症(SMA)と診断された乳児を対象とした第Ⅲ相シャム(疑似的)処置対照二重盲検試験(Study CS3B、日本を含む国際共同試験)において、本剤群80例のうち9例(11.3%)に副作用が認められた。主な副作用は発熱(2.5%)、頻脈、貧血母斑、蜂巣炎、処置後腫脹、眼振、血管炎、体温低下、体温上昇(各1.3%)であった。
生後6ヵ月を超えてから発症した脊髄性筋萎縮症患者を対象とした第Ⅲ相シャム処置対照二重盲検試験(Study CS4、日本を含む国際共同試験)において、本剤群84例のうち24例(28.6%)に副作用が認められた。主な副作用は頭痛(9.5%)、背部痛(8.3%)、発熱(7.1%)、腰椎穿刺後症候群(2.4%)、嘔吐(2.4%)であった。
(1) 重大な副作用
水頭症(頻度不明):水頭症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
7. 適用上の注意
(2) 投与時  1)重度の脊柱変形を生じている患者では、確実に髄腔内に刺入できるよう、超音波画像等の利用を考慮すること。

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